自分のモチベーションをコントロールする

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みなさんは学習について「モチベーションが上がらないな」と感じることはありますか?また「どうしてモチべーションが上がらないのか」と考えることはありますか?今回は人のモチベーションがどのように働くのかについてお話ししていきます。

・モチベーションはどこから来るのか

まず、モチベーションはどこからやってくるのか考えてみましょう。モチベーションは何もないところから突然湧いてくるでしょうか?多くの方は、何か外部的な刺激があってモチベーションが発生することが多いはずです。

テストで良い点を取ればお小遣いがアップする、あと5キロ痩せれば欲しかった洋服のサイズが入る、今回のプロジェクトが成功すれば次の人事評価で昇進できる、etc…

しかし、「モチベーションが発生する=がんばりが継続する」訳ではないことは多くの方が経験したことがあると思います。

そして上記のような目標を達成するためには今まで経験したことがないような努力が必要な場合も多いはずです。何故人はそのような努力をすることができるのでしょうか?

この問いに対する答えはこうです。

過去に「努力→成功体験」を経験しているため、ちょっと大変だと感じるかもしれない取り組みであっても、その先にあるご褒美(お小遣いアップ、洋服が入る、昇進、人に褒められる、など)を手にしたときの達成感・快感を知っていて、それをまた味わいたいと思うからです。「アクション→良い結果」の因果関係を経験的に習得していると言い換えることができます。


・成功体験がない人がすべきこと

これを聞いて、「自分はそういう体験が一度もないし、そもそも何をしても続いたことがないよ」と思った方も続きがありますので、まだ諦めないで下さい。

そういう方は、まずその負のループから抜け出すための工夫が必要になります。試していただきたいアイデアの一つが「目標設定の難易度を低くする」ことです。テストであれば100点ではなく80点に、ダイエットなら5キロではなく1キロにするなどです。目標の難易度が低いとやりごたえが少ない、物足りないと感じるかもしれませんが、もし過去に成功体験がないのであれば、まずは一つの成功例を作ることに重きをおいて頑張ってみましょう。前述したように、やるぞと決めたことが実際に達成できると今まで感じたことのない達成感(快感)を感じることができるからです。


この過程で注意が必要な点が一つあります。

頑張ったのに思わしくない結果になってしまうと「アクション→悪い結果」という負の体験として脳にインプットされてしまいます。そうすると、その後同じようなアクションを行うことに対して消極的になってしまいます。

これは最も避けるべきケースです。そうなりそうな時には臨機応変な目標修正が効果的です。結果のみにフォーカスせず、アクションの過程を目標に設定することで失敗を回避し易くなります。例えば、「テスト前の1週間は毎日30分ずつ勉強する」のような目標変更です。

結果のみの目標設定は達成できないリスクがありますが、アクションの過程を目標に設定した場合は難易度を微調整できるため達成確率が高くなります。


ただし、この場合の懸念が一つあります。達成感が目減りする可能性があることです。そのため、結果を成功体験として確実に脳にインプットさせるために、ご褒美をある程度嬉しいと感じるレベルのものに設定しましょう。以下のように家族、友達など周りの人の協力を得ることをおすすめします。

例:学習が1週間続いたら…

・スターバックスで好きなドリンクを奢ってもらえる(友達)

・好きな料理のリクエストができる(家族)

・ランチを奢ってもらえる(同僚)


・モチベーションが発生する仕組みを作る

ここまでお話ししたことが実践できたら次のステージに進みましょう。すなわち、モチベーションが持続するサイクルを作りだすということです。心理学の分野で「ABCモデル」と呼ばれる仕組みをうまく使っていきます。

「アクション→結果」のセットを何度も繰り返すためにはもう一つ必要な要素があります。それは、アクションを発生させる「前提条件」です。

例えば、「1週間勉強ができた」ときに勉強をスタートしやすい環境がどのようなものだったかを考えてみましょう。

例えば、

・デスクの上に使うテキスト、ノートを常に置いていた

・勉強中はテレビを消していた

・静かな音楽を流すと勉強に集中できた

・朝より夜の方が勉強が捗った

などの条件が出てきたとしましょう。


ここから導き出されるのが、「勉強をより確実に実行するために必要な前提条件」です。今後は予めこの環境を整えてから学習に着手すれば、成功確率がさらにアップします。


前提条件の環境作りは、再現性が高くなるようになるべくシンプルにしましょう。また、徐々に生活の一部に自然に組み込まれていくことが理想なので、実施する時間を決めるために事前にスケジュールを立てることも重要です。(こちらは以前「習慣化のコツ」でお話しした内容に繋がります。)


一般的にはモチーべションさえ上がれば何でもできると思われがちですが、心理学的にはモチベーションは長期間維持することが非常に難しいファクターだと言われています。そのため、今回ご紹介したABCモデルを上手く使って短期間のサイクルを作り、それをひたすら反復することで小さな目標達成の積み重ねを繰り返していきましょう。


参考:短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント



Kenichi Ariga